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Sawasdee Thailand
タイの法律(その2)
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目次  

  1. 裁判所法
  2. 刑法
  3. 売買法
  4. 貸借法
  5. お金の貸借法
   タイの法律(1)

  1. タイ国民身分証明書に関する勅令
  2. 民法(結婚等に関する規定)
  3. 民法(子供等に関する規定
  4. 戸籍法
  5. 初等義務教育法
  6. 薬物取締法
  7. 所得税法
裁判所法  

裁判所法は裁判所に関する公正さを厳格に保つために定められ勅令で、裁判所の義務、裁判官の行使力の影響範囲を定めています。

   裁判所の重要性

民事裁判・刑事裁判を問わず、第三者との間で何らかの係争が発生した場合、タイ国民は誰でも法令で別途定める場合を除き 裁判に訴える権利を有します。

裁判は任命された裁判官の判決の元、原告と被告との間に不公平が発生しないように行われます。 裁判官からの判決は、原告と被告との間の利害関係のすべてに優先します。

   裁判所の種類

タイ国内にある裁判所を大まかに分類すると以下の3種類に分類できます。

→初等裁判所

民事事件や刑事事件を問わず、すべての裁判はこの裁判所から行われます。

初等裁判所は原則として各県(バンコク特別行政区を含む)で発生した裁判一切を統括する場所という意味で各県庁所在地に1個所だけですが、 人口統計の面から判断して人口が多い県の場合はその県内に初等裁判所の支所を設立することができます。 ただし、初等裁判所の支所は県庁所在地には設立することができません。

(例 スラーターニー県の場合、県庁所在地にある初等裁判所の他に、チャイヤー郡に初等裁判所の支所があります。)

また初等裁判所と初等裁判所の支所では同一の原告と被告による同一内容の裁判をすることはできません。

→上告裁判所

原告または被告が初等裁判所の判決に不服がある場合または初等裁判所の裁判官からの指示による場合、 初等裁判所の次の段階として裁判をする所です。

法律で制限されている特別な場合を除き、タイ国民は上告裁判所に上告する権利を平等有します。

→最高裁判所

バンコク都サナームルワング東隣、タイ国内に1個所しかない裁判所です。

上告裁判所の判決に不服があった場合にここで最終的に裁判をの判決を受けることができます。 ここで判決が下ったらそれ以上の裁判をすることはできず、その事件一切に関わる裁判は終わったものとして 扱われます。

参考までにタイ王国憲法内の裁判所法に関抜する条項を抜粋します。

(第27条)

刑事事件においては、容疑者もしくは被告人は違法がなかったものと仮定して取り扱う。 最終判決により何人かの違法行為が明示される以前においては、その人物を違法行為者の如く取り扱うことはできない。

(第29条)

刑事事件において容疑者もしくは被告人が貧困者であるという理由により、自ら弁護人をつけるだけの財産を持たない場合、 法律の規定により国家から援助を受ける権利を有する。

   特別な裁判所

上に掲げた3種類の裁判所の他に、特別な位置付けとしての裁判所があります。

→未成年及び家庭裁判所

その審理の内容が刑事事件であり、かつ被告が満7歳以上満18歳未満である場合、この未成年及び家庭裁判所において 裁判を行います。被告の年齢が満18歳以上満20歳未満である場合は、まず普通の大人の裁判と同じように初等裁判所において裁判し、 その後で裁判官の判断より未成年及び家庭裁判所で裁判をやり直すように言い渡されます。

民事事件である場合、家庭内の問題というようなごく簡単な内容についてだけ審理されます。

なお、満7歳未満の子供はいかなる場合においても刑事裁判に問われることはありません。これは、そのような 年少の子供はたとえ凶悪犯罪を犯しても責任をとることができないと考えられているからです。

   裁判官の人数規定

初等裁判所と上告裁判所では2人を下回ることがないこと、最高裁判所では3人を下回ることがないことと規定されています。


刑法  

タイ国民すべてが安心して暮らせタイ社会が平和でありつづけるために、犯罪を犯した者を裁く意味で 適用されるのが刑法です。

正確には刑法とは複数の法律の集合であり、一般には「刑法集」と呼ばれています。刑法集は以下の主な勅令から構成されます。 ここでは単に刑法と呼称します。
  1. 刑法
  2. 薬物取締法
  3. 賭け事に関する勅令
  4. 武器・兵器・弾丸所持に関する勅令
  5. 陸上交通法規に関する勅令
  6. 国税に関する勅令集
   刑法上での犯罪の定義

社会または国民に対して困難、問題、危険を投げかけることを刑法上で犯罪であると定義しています。

社会に与えた不安や危険度や影響により刑の重みを鑑みた上で、犯罪の程度は大別すると以下の2種類に分類されます。

→国家、社会に対して影響力のある犯罪

被害者だけでなく国家や社会に対しても直接的に大きな影響力を持つ犯罪を指します。

たとえ賠償金などをもらって被害者が犯罪者の行いを許したとしても、国家が被害者に代わって犯罪者を裁かなければ ならない犯罪ということができます。

その犯罪者をそのまま放っておいたのでは将来において社会に危険が及ぶことが想定されるからです。


(例1)

良夫と浩子はお金のトラブルのもつれから喧嘩をし、良夫は逆上して家の中にあった金槌で浩子の頭をなぐり 浩子に大怪我をさせた。

浩子は警察に行って、良夫がとった行為について警察官に訴えた。

時が過ぎ、浩子は良夫から「ごめん」と言われ、同時に損害賠償としての慰謝料をもらったおで、特に裁判に訴えるまでも ないと自らの意思により判断した。

しかし、この場合においてたとえ浩子が良夫の行いを許したとしても良夫の暴力は社会に与える影響力が大きいと考えられる。ゆえに 警察などの関係所管が被告人となって良夫は裁判に訴えられる。


(例2)

信夫は自分の不注意による車の運転から智子という女の子を交通事故で死亡させてしまった。

智子の両親は子供が死亡してしまったことに関して、信夫から賠償金20万バーツを受領した。 そして、智子の両親は「賠償金を受領できたから万事解決」と判断して、信夫のことを裁判に持ち込むことをしなかった。

この場合、いくら賠償金を受領したとは言えども信夫は交通事故で人を死亡させてしまったのだから、警察が 被害者に成り代わることによって、信夫は裁判に訴えられることになる。


→国家、社会に対して影響力が多くない犯罪

被害者だけでなく国家や社会に対して直接的な影響力が多くない犯罪を指します。

賠償金などをもらって被害者が犯罪者の行いを許したら、そのことを裁判に訴える必要がない犯罪のことです。

言い換えると和解または示談が成立したらそれで終わり、という比較的軽い犯罪だと言えます。


(例1)

裕二と紀香はお互いに浮気の相手として毎夜毎夜、ある場所で密会していた。たまたま裕二の知人である由紀夫が このことを知り、二人の密会の様子を草むらから覗き見してその様子を友達に言いふらした。

裕二と紀香は激怒した。覗き見されるだけでなくその様子を他人に言いふらされた損害賠償として由紀夫を警察に 連れて行き、警察官の立会いのもとで謝罪状を書かせて賠償金をもらった。

この場合、この事件はこれですべてが終わったと解釈され、第三者により由紀夫が裁判に訴えられることはないと判断されます。


(例2)

幸助と加代子は夫婦である。

ある日、幸助の浮気が加代子に発覚しまい、加代子は幸助が女に会いに行けないように家の外から 南京錠を使って鍵を掛け、幸助を家の中に閉じ込めた。

幸助はガラスを破り外に出ることができたが怒り心頭に達した。加代子は幸助を警察署に連れて行って事の成り行きを説明した。

幸助は警察官の面前で謝罪文を書き、この事件はこれで終了した。

この場合、第三者により幸助と加代子の両方が裁判に訴えられることはないと判断されます。


   刑法適用の原則

→その事件だけに適用する新たな刑法を作ることができない

ある事件が発生した場合、その事件が過去に起こった前例がないなどの理由でそれを裁く刑法が法律として 存在していない場合、その事件だけに適用する刑法を新たに作ることはできません。。

→時を遡って刑法を適用することができない

まだその事件を裁く刑法がない時代に発生した事件で、後になってそれを裁く法律ができたとしても、過去に 遡って新しい刑法を用いて過去の事件を裁くことはできません。

   刑罰の種類

以下の5種類に分類されます。
  1. 死刑
  2. 禁固
  3. 懲役
  4. 罰金
  5. 財産没収
   罪が発生する時期

→故意による場合

その行為をすることにより他人に影響を及ぼすことを事前に感付いている場合、その行為は故意によるものとみなされ その行為をしたと同時に直ちに罪が発生します。

(例)

孝子は恋敵である今日子が毎朝7時に家の近くの橋を渡るのを知っていた。

ある日、孝子は橋の袂の草むらで今日子がやって来るのを待ち伏せして、今日子の姿を見つけると持っていた木の棒で 今日子の頭を殴って大怪我を負わせた。

この場合、孝子の行いは故意によるものと判断され直ちに罪が発生することになる。

→故意によらない場合

事件が起こるとは予想されなかった行為により二次的に事件が発生してしまった場合、それは故意によらないものと して扱われ、その段階ではまだ罪が発生している訳ではありません。。

いつ罪が発生するかは各々の勅令の規定によります。

(例)

保と加奈子は恋人同士であり、いつものように並んで道を歩いていた。

加奈子がついつい調子に乗って保の肩を「やぁねえ〜」と叩いた瞬間にたまたま保がバランスを崩して歩道に倒れてしまい、 さらに運悪く歩道の淵に頭をぶつけて死亡してしまった。

この場合、加奈子は保に対して危害を加えるつもりはまったくなかったものとして扱われる。

→過失による場合

故意によるものではなく、主たる原因が自分の不注意または注意力の散漫や欠如によるものである場合は過失として 扱われます。

相手に危害を加えたと同時に罪が発生します。どういう状況が過失によるものかそうでないかは、各々の勅令の 規定によります。

(例)

幸夫は友達の昭夫とモデルガンで遊んでいた。

幸夫が手にモデルガンを持ってあれこれといじり回しているうちにモデルガンの中に一発だけ残っていた弾が どういうわけか暴発し、隣に座っていた昭夫にあたって昭夫は死亡してしまった。

この場合、幸夫の注意力散漫ということになり過失による事件として扱われる。


   刑法の例外規定

以下の理由による場合はたとえ事件を起こしても罪に問われることはありません。
  1. 必要に迫られているときの正当防衛
  2. 事件を起こした者が精神異常者である場合
  3. 公務員の指示によって何らかの時間が発生した場合
  4. 夫妻間における家庭内の些細な争いごと
  5. 事件を起こした者が満7才に満たない者である場合
   年少者に関する規定

20才未満の年少者の犯罪に関しては、その考え方がまだ大人ほどしっかりしておらずひ弱であり、責任をとる能力が 大人と対等ではないという理由から、同じ刑法を適用しながらもその年少者の年齢が考慮され、一般には罰則が 大人よりも厳しくありません。

刑法では年少者の年齢を以下の4種類に分類し、各々細かく規定しています。
  1. 満7歳未満の者
  2. 満7歳以上満14歳未満の者
  3. 満14歳以上満17歳未満の者
  4. 満17歳以上満20歳未満の者
→満7歳未満の者

この年代の者は責任を取る能力がまったくないと考えられるという理由からどのようなことを行っても罪に問われることは ありません。

ただ、その分、親や監督者に子供を監視する事においての厳格さが求められます。

→満7歳以上満14歳未満の者

上記の満7歳未満の者と同様に責任を取ることができないと考えられていますが、勅令では以下に示す様々な方法によって 子供を矯正することを規定しています。
  • 子供に口頭にて注意する
  • 両親、監督者またはその子供と同居している大人を召集して注意する
  • 両親、監督者を召集して注意し誓約書を提出させる
  • 子供と同居している大人を召集して注意し誓約書を提出させる
  • 国がその子供を監督するために監督員を用意し、常時監督する
  • 子供の身柄を特別な学校または施設に預ける
→満14歳以上満17歳未満の者

その子供の育った環境、家庭環境などを考慮した上で責任を問えるかどうか判断する。

責任を取る能力があると判断された場合は、大人の刑罰の4分の1の刑を与える。

→満17歳以上満20歳未満の者

上記の満14歳以上満17歳未満の者と同様に家庭環境などを考慮した上で責任を問えるかどうか判断する。

責任を取る能力があると判断された場合は、大人の刑罰の3分の1から4分の1の刑を与える。


売買法  

売買とは、「売り手」が「買い手」に対して物を譲渡し、譲渡した物の価値に応じたお金を「買い手」が「売り手」に 渡すことを指します。

物の価値に応じて売り手に渡すものはお金でなくてはならず、仮にそれがお金でない場合は物々交換などと呼ばれます。

   売買される物の種類

売買における基本的な形を文章で述べると以下の通りとなります。
  1. 売り手と買い手の両方がいなければならない
  2. 売り手が所有していた物の所有権は直ちに買い手に移る
  3. 買い手は売り手に対し、その代価をお金で支払う
売買できる物の物の種類には以下の2種類があります。

→土地関係物

土地や、家・田畑・植物などの土地に付随する財産、というように土地に接している物

→非土地関係物

上記の土地関係物とは違って土地に関係しない物。机、椅子、ゾウ、鹿、滝での水力発電権、抵当権など。

(例)

良子は新たに雑貨屋を開店した。ある日、友人である清美が赤いバスタオルを買いに来た。 バスタオルは100バーツであり、客の清美は代金100バーツを現金で支払い、買ったバスタオルを持って家に帰った。

この場合、清美はバスタオルの代価をきちんと良子に払っているのでバスタオルの所有権は直ちに清美に移る。

   売買の特殊な形態

書類等が必要になる売買における特殊な形態は以下の通りです。

→土地関係物である場合

売買書類を書いて、それをその土地を管轄している関係所管に提出しなければなりません。 そうでない場合は、その売買は無効です。

(登記済の土地関係物)

土地または土地に付随する財産に関わらず、それを管轄している地方自治体管轄の土地関係所管に届けます。

(未登記の土地関係物)

土地または土地に付随する財産に関わらず、それを管轄している中央省庁管轄の土地関係所管に届けます。

(注)登記済である場合はその土地の区画が既に中央省庁管轄の土地関係所管に報告されているため、 地方自治体管轄の土地関係所管に届けるだけで良いとされています。

→非土地関係物である場合

5トン以上の船舶、蒸気船、モーターボート、河や運河上にある水上家屋を売買するときは売買書類を作成し、 それを中央省庁管轄の土地関係所管に提出しなければなりません。

また、乗り物として使用しているゾウ、馬、牛、水牛、ロバ、ラバを売買または他人に譲渡するときは仏暦2482年施行の乗り物動物法に従って その動物の色、種類などを地方自治体管轄の土地関係所管に届けなければなりません。

→価格が500バーツ以上の物の売買

売買の証拠として、取引内容を記した書類、手付金について記した書類または後日支払うべき代価について記した書類を 書く必要があります。

それがない場合、もしも後日になって裁判沙汰になっても裁判に持ち込むことはできません。

(例)

順子は自分が持っている宝石の指輪を親友の弘美に代金5万バーツで売ろうとした。 弘美は手付金として1万バーツを支払ったが、売り手と買い手の二人は何も書類を書かず口約束だけで済ませた。

後日、売り手である順子は気が変わって「やっぱり指輪を売るのをやめる。だから手付金を返す。」と言い出した。

ところが買い手の弘美はこのことに同意できずに裁判に持ち込みたいが、書類がないために裁判を開廷することはできない。

   売買できない物

売買できない物には以下の物があります。
  1. 公共の土地 (例)岸、土手、水路、国有林
  2. 法律により、譲渡が禁じられている物
  3. 法律により、許可のない所有が禁じられている物 (例)銃器、アヘン、ヘロイン、大麻
  4. ワット内の建物、仏像、ワットの敷地
  5. 公務員が恩給を受ける権利
(ワットの敷地内にあるすべての物(僧が日常的に使用する物を除く)はすべて国家の物と規定されています。)

   預け売り

普通の売買でなく「預け売り」という売買の方法があります。

これは、売り手が買い手に対して物を売った後、あらかじめ合意した一定期間内に売り手がその売値以上のお金を用意して、 そのお金ですでに売った物を買い戻すと言う売買の方法です。

(例)

孝雄は急にお金が必要になった。

そこで急いでお金を作る方法として、自分が持っている土地を10万バーツで友人の博史に売り、1年後にその土地を12万バーツで 博史から買い戻すことにした。

あらかじめ合意した1年以内に12万バーツを用意することができれば既に売った土地を買い戻すことができるが、 もしも用意できない場合は買い戻すことができない。

これを「預け売り」と呼び、物の所有権は最初に博史が10万バーツで買った時点で博史に移る。

貸借法  

貸借とは、ある財産の持ち主である貸主が、ある一定の期間内で借主に対してその財産を貸与することを指します。

貸主は財産を貸与し、借主は貸主に対してその契約に基づく賃借料を滞りなく支払わなければなりません。

   貸借される物の種類

土地関係物であろう非土地関係物であろうと、法律で禁じられている物を除いてすべて貸借できる物の対象となります。 つまり貸借される物は、土地、家、自動車、オートバイ、宝石、金(きん)というように物の形状を問いません。

ただし以下に示す規定があります。

→土地関係物

土地、家、アパートというような土地関係物を貸借する場合は文書による貸借契約が必要であり、その文書には貸主と借主の双方による サインが必須です。(サインがない場合はその契約は無効扱いとなり、裁判を起こすことができません。)

なお、その文書に形態は特に形式を問いません。例えば便箋に書いた走り書きのような文書であってもサインさえあれば それは契約文書として成立します。

→非土地関係物

上記の場合とは異なり文書による貸借契約を必要としません。ただ実際のところとしては、友人間などといった特に親しい 間柄である場合を除いては契約文書を書くことが普通です。


(例)

順子は自分が住んでいる大きな家の一部を貸間として親友の幸夫に1年契約で家賃を1000バーツとして貸すことにした。

しかし、その際両者の間では賃貸契約の文書を取り交わすことがなかった。

その後、貸主の順子は心変わりして家の一部を幸夫に貸さないことにした。幸夫は憤慨したが、幸夫はこの件で裁判を 起こすことはできない。つまり土地関係物の賃貸に必要な契約文書がないからである。

逆に借主の幸夫が急に「借りない」と言い出したときも貸主の順子は同じように裁判に訴えることができない。

→3年を越える賃貸契約

土地関係物の契約の場合でその契約が3年を越える場合は、契約文書を交わすだけでなく、最寄の関係所管に届けなければ なりません。もしもその届出がない場合、その契約の期間は3年間だけであると解釈されます。

また、30年以上の長い期間にわたる土地関係物の契約はできません。たとえ契約文書上にそれよりも長い期間が契約期間として 記されていても法律上は30年として扱われます。

(例)

孝雄は、あるアパートの所有者である。

孝雄は、7年間部屋を借りたいと申し出た信子に対して1か月4000バーツの契約で部屋を貸すことに決め、 孝雄と信子の間で契約文書が取り交わされた。しかし孝雄は面倒くさがってその契約を関係所管に届け出なかった。

3年経過した時点で孝雄はこれ以上信子に部屋を貸さないことに決め、信子に対して部屋を明渡すように話した。

信子は憤慨して契約違反だと言い張ったが、これは契約違反ではないとみなされる。

つまり、はじめの段階で関係所管に届け出なかったためにこのアパートの賃貸契約の効力は3年だけであると判断されることによる。

   貸し売り

普通の貸借では貸借される財産の所有権はずっと貸主にあるのに対して、貸し売りの場合はその所有権は契約文書に記載された 一定の期間後に借主の物になります。ちょうど、物の売買と貸借契約の中間のような存在です。

貸し売りする際には以下のことが前提となります。
  1. 貸主は、その財産の所有者であること
  2. 貸主は、その財産を借主の所有にすることに対して文書で同意すること
  3. 借主は、その財産を借り受ける報酬として契約文書に記載されている条項通りに貸主に対して代価を支払うこと
  4. 契約文書を作成すること
ローンで物を買うときはその所有権は直ちに買主に移りますが、貸し売りの場合は一定の期間が必要です。その一定期間内に 借主は貸主に対して賃借料を滞りなく支払わなければなりません。

お金の貸借法  

商法653条によれば

「50バーツを越える金額の貸し借りにおいては理由の如何を問わず「お金の貸し借りに関する証書」を書かなければならず、 それがなければ後日問題が発生した場合に裁判を起こすことができない」

とされています。

   お金の貸し借りに関する書類

→「お金の貸し借りに関する証書」(以下、証書と呼ぶ)の書式を問わない

書式はどういう様式であろうと構いません。例えば、表題として「借用証書」と記載されていずに「覚書」などと記載されていても 一向に差し支えないという意味です。

また記載する物は紙である必要はなく、書かれている文字がきちんと判読できさえすれば何であっても構いません。

→証書に記載しなければならない事項

商法によれば、必要なのは「金額と借主のサイン」だけと規定していますが、それだけでは貸主が債権追求を遂行することができませんので、 一般には以下の通りとなっています。
  1. 借主の氏名、本籍地
  2. 貸主の氏名、本籍地
  3. 保証人の氏名、本籍地
  4. 金額
  5. 返済条件
  6. 返済期限
  7. 1年あたりの貸し付け利息
  8. 貸した日付
  9. 借主のサイン
  10. 貸主のサイン
  11. 立会い人(2人)サイン
  12. 当証書の記入者サイン
(例1)

弘は今月の生活費が底を尽き、友人である由紀子に500バーツを借りた。弘は「友達同士だから別に形式ばった証書を書かなくてもいいよね」と、そのあたりにあった適当な紙に 以下のように書いた。

「仏暦2546年8月1日までに由紀子から借りたお金500バーツと利子を返済します。弘(サイン)」

この場合、後日に何か問題が発生した場合にこの紙に書かれた内容が借用証書としての意味をなし、裁判を起こすことができる。

(例2)

良夫は孝子からお金2,000バーツを証書なしで「いついつまでに必ず返すから」という口約束だけで借りた。しかし、その期日になっても 良夫がお金を返さないため、孝子は良夫に対して催促状を書いた。

その催促状の返事として孝子は「仏暦2546年9月1日までに元金2,000バーツと利子を返済します。」という書状を受け取った。

この場合、受け取った書状を借用証書の代わりとすることができる。

このことからわかるように、証書は貸し借りの際に記載されたものである必要はなく、後日において記載されたものであってもよいということが言えます。

   利子に関する規定

→民法と商法の規定

民法と商法の規定によれば利子は年率15%以内と定められています。それ以上の利率による利子は法律上すべて無効扱いとなり、 貸主は借主に対して利子の請求ができません。

ただし、証書上に利子に関しての記載が何らかの形で存在すれば、年率7.5%を越えない範囲で請求することができます。

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